ユニオンオーナーズクラブへの募集馬提供に際して

2022年06月19日

 ハクレイファームでは、2020年からユニオンオーナーズクラブに募集馬の提供を行っています。今年もウルドライラムーンの2頭の募集が7月から開始されます。

 

 それに先立って、会員の皆様に弊社の考え方をご説明するべく、本記事を投稿します。弊社の全体的なビジョンや経営方針についてはこちらの記事をご一読ください。

 

 ハクレイファームは2017年にYSスタッドから事業承継する形で誕生しました。旧商号時代には、オークス馬ウメノファイバーや皐月賞2着のサンリヴァル、古馬G2を2勝したヴェルデグリーンなど、小規模ながら一線級で活躍する馬を輩出してきた実績があります。

 

 これまでユニオンオーナーズクラブには3頭を提供、現3歳世代のアプサラーは2戦目で未勝利戦を勝ち、重賞にも挑戦しました。アスタラビクトリアもデビュー5戦で3回掲示板に入る惜しい競馬が続いていて、2歳のパララヴィクトリアは入厩に向けて本州でトレーニングを積んでいます。

 

 別記事で表明した通り、私たちは血統表に残る名馬の生産を目指して事業運営を行っています。そのために開業からの5年間で様々な投資や改善を行ってきました。少し具体例を挙げると、老朽化した厩舎や牧柵、ウォーキングマシンなどの修繕、馬運車、各種重機械の導入、従業員宿舎の新設などです。

 

 2020年には、新冠本場の6倍の敷地となる庫富分場を開設。生後3ヶ月から中期育成後期まで、冬期も休まず20時間の放牧が可能となったことで、病気や怪我になる馬が格段に減少しました。運動量の増加と良質な牧草を豊富に採れる効果は大きく、育成場への移動は年々早まり、早期デビューにつながっています。  

 

 人員は当初の2名から7名に増加、将来への備えとトラブルに対するバッファを持つため、常に余裕を持った人員構成を保つよう心がけており、今後も継続して採用と待遇の改善に努めていく考えです。

 

 繁殖牝馬については、アルゼンチンでの庭先取引とキーンランドセールで海外の重賞勝ち馬を複数導入。国内のセールでも有力牝系の牝馬を積極的に購買し、今後はレッドマジックで走っていた良血馬がここに加わってきます。

 

 私自身が血統にはとても関心が強く、配合には特にこだわりがあります。血統研究家の栗山求氏の助言を受けながら、独自開発した解析ソフトを活用して1%でも確率を高めていくことを目指し、上位から下位までのラインナップを幅広く採用しながらも妥協のない種牡馬選定をしてきました。

 

 こうした努力を続ける一方、事業の安定には規模も必要であることから生産頭数を年々増やし、2022年の種付け頭数は27、来年は30頭超の見込みと、開業時からその数を倍増させています。

 

 ただ、こうなってくると一つ問題が出てきます。それは売り先が限られるということです。YSスタッドはほぼ庭先取引だけで回っていましたが、私たちはその顧客基盤を引き継いでいません。必然的にセールを中心に販売することになりますが、各セールの枠には限りがあるので、良い馬を作ろうといたずらにコストをかけてしまうと、そこに歪みが生じてしまいます。

 

 そこで私たちは、一口クラブとお取引をさせていただくことを考えました。今でこそセールが活況ですが、経済状況によってその環境はいつでも変わり得ます。また日本特有の事情として、人口減という避けがたいマクロ環境の逆風があるため、小口に分散してオーナーを募るという一口クラブの重要性はますます高まっていくものと考えられます。

 

 こうした観点から、私たちは一口クラブを外部環境に左右されにくい安定した販売先としてとても重視しています。そして、牧場集合系では最大級の会員規模を誇り、G1勝ち馬も出した実績のあるユニオンオーナーズクラブをパートナーに選ばせていただきました。

 

 ハクレイファームは小規模の新興勢力ですが、掲げる目標は決して小さくはありません。それを実現するためには末永くお客様に支えていただく必要があります。そのために、セール、庭先、一口クラブと、すべてのチャネルで活躍馬を出し、多様なお客様からの支持を得られるような経営を目指していきます。

 

 今後は生産頭数の拡大に伴い、提供馬も3頭、4頭と増えていくかもしれません。その中から必ず有力馬を出したいと思い事業に取り組んでいますので、出資者の皆様、出資をご検討の皆様にはぜひ私たちの行く末を見守っていただければ幸いです。

 

株式会社ハクレイファーム代表
片山 晃