マーケットブリーダー宣言

2022年06月18日

 はじめまして。ハクレイファーム代表の片山晃です。弊社は前身となるYSスタッドの創設から数えると50年近い歴史を持ちますが、ハクレイファームに改称してからはまだ5年しか経っておらず、ようやく昨年に自社配合の初年度産駒がデビューをしたばかりという新興勢力です。まだまだ弊社の存在をご存知ない方が多いと思いますので、今回は私たちのビジョンや経営方針について改めてお伝えする記事を執筆することにしました。

 

 まず結論から申し上げますと、弊社はすべての生産馬を原則として売却する方針を持っているマーケットブリーダーです。代表の片山は個人投資家であり、2013年から馬主(現在の名義は株式会社レッドマジック)として活動をしていますので、その成り立ちからオーナーブリーダーという認識を持たれることもありますが、そうではありません。

 

 私が競馬と出会ったのは中学生の頃で、ダービースタリオン3を手に入れたところから始まります。ゲームの中ではオグリキャップやビワハヤヒデと言った少し前の名馬が無類の強さを誇っていました。そしてリアルタイムのテレビの中では、ジェニュイン、タヤスツヨシなどのサンデーサイレンス産駒がSS旋風を巻き起こし始めていました。

 

 ですが現在、彼らの名前を血統表上に見ることはあまりありません。G1の勲章をいくつも勝ち取り、当時のファンを熱狂させ、世代7000頭の頂点に立った名馬たちであっても、そのほとんどが自身の名を血統の歴史に刻むことは許されなかったのです。

 

 それほど、この世界で血を残すということは偉大なことなのだと思います。だから、私たちはそこに挑みます。ハクレイファームが目指すのは、血統表上に永久に残る名馬の誕生に立ち会うこと。自分たちの手掛けた馬が時の試練に耐え、何世代も経てなおその名を血統表に残し続けることができれば、それはきっと歴史に関与することができたという証になると思うのです。

 

 これを実現するには大きな投資が必要です。母体となる繁殖牝馬はもちろんのこと、土地や設備、人材、外部の専門家とのネットワークなど、様々なところに継続的な投資をしていくことが不可欠となります。

 

 また馬の世界のサイクルはとても長いので、長期的な視点に立った計画の実行が求められます。その際、もし財務面での裏付けが個人による資金援助となると、健全とは言えません。ですから、私は目標を達成する上で、この事業が単独でキャッシュフローを回していけるようになることは必須であると考えています。そのためにはまず実績を出し、市場からの信頼を得て、より良い評価で馬を買っていただけるようになるしかありません。

 

 ですので、ハクレイファームは良い馬ほど市場に出していきます。レッドマジックでオーナーとしての栄誉を得ることにはそれほど関心はありません。買っていただいた馬で、他のオーナー様と喜びを共有することこそが私たちの一番の望みであることをここに明記し、マーケットブリーダー宣言とさせていただきます。

 

 

株式会社ハクレイファーム代表
片山 晃